



池上 郁弥



幾重にも重なり合う高層棟。
商店街から学校、医療施設までなんでも揃う、マンモス団地。
東京都板橋区の「高島平団地」
この団地で、一生を過ごせるのであろうか—

【住所】板橋区高島平2ほか
【交通】都営三田線高島平駅下車すぐ
【戸数】総戸数10,170戸(賃貸8,287戸・分譲1,883戸)
【間取】1DK~3DK/30㎡~56㎡
都営三田線に乗ると見えてくる、高島平団地。幾重にも高層棟が重なり合う様が特徴的である。
最寄駅は「高島平駅」であるが、この駅は元々「志村駅」として計画された駅を名称変更して「高島平駅」としたものである。
名の由来は、この地で日本初の洋式砲術と洋式銃陣の公開演習を行った「高島秋帆」からきているという。

About
団地概要

Portrait
作品撮り




鉛色の団地の表情。
高島平団地は、高層棟が艦隊のように並んでいる。
その間には、無数の公園が広がり、1万を超える戸数をほこる団地の住民を癒している。鉛色で、無機質。表情がない住棟が並ぶ印象の高島平団地の表情を、広がる空と、緑と、住民が揃って作り上げている。

Danchi
団地めぐり
団地、要塞。
高度経済成長期。首都圏の人口増加が顕著となり、住宅不足問題が深刻化。対応を迫られた日本住宅公団は、水田地帯であったこの37haもの土地に高層棟が並ぶ高島平団地を建設した。この団地は「首都圏整備法」のうちの近郊地帯であったものの、定尺定規的な開発規制で住民の反発を招いていた背景があるため、「一団地の整備運営と公園の確保」の担保で緑地地域の指定解除の上、「板橋地区土地区画整理事業」として進められた。
高島平団地は賃貸8287戸・分譲1883戸の総戸数10170戸という堂々たる戸数であり高層棟が壁のように続く様はまさに”日本一の団地”にふさわしい陣容となっている。

ピロティーを抜けて見える団地のメイントリート。

転落防止のため設置の柵。2-33-5号棟。

高島平駅から歩道橋を通して続くピロティー。

V字棟、2-30-1号棟。
”高島平団地”連隊。
高層棟が立ち並ぶ様はまさに軍艦が連なり「連隊」を形成しているかのよう。この一棟一棟に何百という戸数があり、そこに何世帯もの住民が居住している。基本的に高層の廊下型アクセス・ツインコリダー住棟がメインであるが、2-30-1号棟は土地の関係かV字の形をした住棟となっており、ランドマーク的存在となっている。

Danchi Photos
団地写真









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団地から出ずに一生を過ごせるか。
団地には様々な人が暮らし、様々な施設がある。スーパー、飲食店、医療施設、学校まで—
それらはそれぞれに団地で過ごす人々に親しまれ、愛用されている。もし、この施設だけを用いて暮らし、団地から出ずして一生を過ごすことは可能なのだろうか。高島平団地は特に様々な施設が揃っている。そんな空想を、この団地に来るとどうしてもしてしまうのである。